新型コロナウイルスの流行に伴って良く耳にするようになった「リモートワーク」という言葉ですが、”何となく口にしている”、”なんとなく自宅で勤務することだと理解している”という方も多々いらっしゃるのではないでしょうか?今回はそのリモートワークについて分かりやすく解説をしていきます。
似た言葉であるテレワークとの違いや、リモートワーク関連の事柄についてもお話ししていきますので、知識が増えたらいいなという具合で気軽に読んで頂けたらと思います。それでは、さっそく一緒に見ていきましょう。
リモートワークとテレワークの違い
リモートワークもテレワークも実際どっちも良く聞くから、どっちを使えばいいの?と迷われる方も多いのではないでしょうか?
そこで、まずはそれぞれの言葉の意味からお話ししていきたいと思います。
●リモートワークの意味 「Remote(遠隔)と(Work)ワークを組み合わせた造語」
●テレワークの意味 「Tele(離れた)と(Work)ワークを組み合わせた造語」
上記を比べてみると、どちらも実際の職場から離れて仕事をするという意味を持つので正直、言葉自体の違いに大きな差はほとんどないことが分かります。ですが言葉の意味は似ていても、それぞれにきちんとした区別があるのです。では、テレワークとリモートワークの違いについて詳しくお話ししていきます。
まず、テレワークには言葉の定義があり、リモートワークには言葉の定義がありません。そのテレワークの定義というのは、厚生労働省の関連組織である一般社団法人日本テレワーク協会によって次の通りに記されています。
「テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。」
テレワークは4つの勤務形態に分かれています。それぞれを簡単に説明していきますね。
1.在宅勤務
2.モバイルワーク
3.サテライトオフィス勤務
4.ワーケーション
1.在宅勤務
オフィスに出社せず、自宅で勤務するという勤務形態。
2.モバイルワーク
電車や新幹線、飛行機内などの移動中や、カフェ、ホテルなどで仕事をする勤務形態。
3.サテライトオフィス勤務
普段所属するオフィス以外から離れた場所に位置するサテライトオフィスや、コワーキングスペース内で働く勤務形態。
4.ワーケーション
ワークとバケーションを組み合わせた言葉で、旅行や休暇先の隙間時間で働く勤務形態。
リモートワークの4つの形態
次にリモートワークですが、リモートワークは、テレワークよりも新しくできた言葉で、近年に入ってからベンチャー企業やIT企業などで使われるようになりました。リモートワークにも4つの勤務形態が存在するので、ご紹介していきます。
1.ハイブリッド・リモートワーク
2.フルタイムリモートワーク
3.リモート・アウトソース
4.テンポラリー・リモートワーク
1.【ハイブリッド・リモートワーク】
企業に正規雇用されている社員が、1週間にオフィスへ出勤する日とオフィス以外の自宅や共有オフィスで勤務する日とを混合して働く形態のことです。例をあげますと、会議がある日は出社、それ以外はリモートワークといった形などで、現在の国内では最も多く採用されているリモートワーク形態です。
2.【フルタイム・リモートワーク】
企業に正規雇用されている社員が、完全にオフィス以外でのリモートワークをする形態です。先ほどのハイブリット・リモートワークと同じ正社員が対象ですが、出社は一切しないので、会議などがある場合でも完全にオフィス以外で画面共有をしながら遠隔で行います。
3.【リモート・アウトソース】
企業に正規雇用されていない外部の契約者が、出社せずに完全にリモートワークをする形態です。例えば、企業は必要に応じてその専門分野に詳しい人材を外部から取り入れることによって、人材不足を補ったり、教育費などのコスト削減効果も期待できます。
4.【テンポラリー・リモートワーク】
今までご紹介してきた形態はフルタイムでしたが、テンポラリー・リモートワークは、オフィス外で一時的な短い時間で勤務する形態です。例えば、育児や介護などの事情で短時間勤務でないと難しい場合などです。非正規雇用者に業務依頼することが多いようですが、正社員でもその人の事情によってこの形態を取っている場合もあります。
これらのようにそれぞれが様々な形態に分かれていることによって、人々の生活に合った働き方を柔軟に選択できるように徐々になりつつあります。
さて、冒頭でリモートワーク・テレワークの意味の違いに大差はないとお伝えしましたが、いざ、その2つを言葉で表現したいときにどちらを選ぶかは、相手や場面によって次のように使い分けると良いでしょう。
リモートワークは、IT、クリエイティブ、ベンチャーやスタートアップなどのフレッシュで新しい風潮を好む企業などが主に使用する傾向があります。
他にフリーランスなど、従来の働き方にとらわれない職業を選んでいる人々も含まれます。
テレワークは、政府、公共機関、大企業などの組織が使用する傾向にあります。日本にテレワークが導入されたのが1984年なので、40年以上近く前から存在していることから、大きな組織では昔から馴染みがあるということも影響しているのかもしれません。
リモートワーク/テレワークのメリット&デメリット
現在、新型コロナウイルスの影響から外出の自粛を促されていることもあり、リモートワーク・テレワークを取り入れる企業が多くなる一方、リモートワークを取り入れたくてもなかなか取り入れることが難しい、取り入れるべきか分からない、という企業も少なくありません。その点を踏まえ、リモートワーク・テレワークのメリット・デメリットについてお伝えしていきたいと思います。
メリット
1.コスト削減
2.モチベーションの向上
3.人材の確保
4.企業のイメージアップ
1.コスト削減
リモートワークの取り入れによって、社員の交通費や出張費などの人的費用が削減できるのに加え、オフィス賃料、設備費用などの固定費、電子化によって必要性がなくなる紙印刷代なども削減できます。
2.モチベーションの向上
在宅勤務ができることによって、出退勤する際のストレス原因となる通勤時間の長さや人混み、交通機関の遅延から逃れることができます。
また、自分が働きやすい環境を選ぶことができること、家事などのプライベートとの両立、休憩時間の食費の節約ができるなど、自分のスタイルに合わせた働き方が実現できます。
3.人材の確保
リモートワークの取り入れによって企業側は、育児や介護、パートナーの転勤などのやむを得ない理由で退職しなければならない人材の離職を防ぐことができ、社員側にとっても職を失う不安を解消できるので、お互いが納得のいく社会活動を続けることができます。
また、場所を選ばない働き方になることで、企業の近辺地域だけでなく日本国内における遠方地域や海外在住などの優秀な人材を確保することも可能になるので、人材不足を解消することができます。
4.企業のイメージアップ
上記にあった人材確保の話のように、離職率の低下を防ぐことができるということは企業のイメージアップに繋がります。
また、リモートワークを導入しているということは、働き方改革に協力的な企業であることや、近年において必要となっているIT化ができることで時代に合った対応力があることを証明し、イメージアップに繋がります。
デメリット
1.勤怠管理
2.作業効率の低下、プライベートとの区別
3.セキュリティリスク
4.コミュニケーション不足
1.勤怠管理
オフィス出勤では決められたタイムスケジュールの中で動かなければならないという意識があり、勤怠管理も会社の管理の元で行われているため、より正確な勤怠管理が可能です。ですが個人管理となると、勤務時間がルーズになってしまったり、記録につけた稼働時間よりも実際には多く働いてしまっていたということが起きてしまいがちです。
企業側も従業員の勤務態度や、出欠席、勤務時間の正確さを確かめるのは難しくなります。そのためにはリモートワークに適した勤怠管理システムを導入するなどの対策をする必要が出てきます。
2.作業効率の低下、プライベートとの区別
オフィスで勤務する際は会社の監視下にあるという意識があり、その空気間や雰囲気、または周りの社員が仕事に取り組む姿を見て刺激を受けることで仕事への意識や集中力が高まりやすいです。ですが自分個人で仕事をするとなると、ついつい家事など仕事以外の事に気が散ってしまいがちになります。自宅での作業が上手くいかないという方は、コワーキングスペースを活用するなど、自分が集中できる音楽をかけてみたり、気が散る物は目の届くところに置いておかないなどの工夫が必要です。
4.セキュリティリスク
オフィス以外の自宅やコワーキングスペース、カフェなどで作業することによってセキュリティリスクが高まってしまいます。例えば、画面を他人に見られてしまったり、安全性の低いフリーWi-Fiを利用するなどが原因で情報が漏れてしまう恐れも考えられます。
これらの事態を防ぐために企業側は、セキュリティソフトを導入したり、情報取り扱いルールを社員に共有しておくなどの事前対策が重要となってきます。
5.コミュニケーション不足
オフィスでは疑問点や問題点を近くにいる人にすぐに口頭で質問できたり、チームワークで共有、解決できていたものが、リモートワークとなるとそれらが難しくなりがちです。離れていてもコミュニケーションが取れるチャットツールがいくら進んでいるとはいえ、人の表情や感情は文だけでは汲み取りにくくもどかしい気持ちになってしまうかもしれません。
また、人と会って会話をしないことで孤独感を感じるなどの個人のメンタルにも影響してきます。これらの問題を解決するためには、毎週決められた日に動画でのWeb会議をするなど会話でのコミュニケーションを取る時間を設けるなどの対策が必要になります。
リモートワークに必要なツール
リモートワークを取り入れ、円滑に進めていくには”ITツール”の導入が必要となります。上記のメリット・デメリット比較文にもセキュリティソフトやコミュニケーションツールなどのお話を含めてお伝えしてきました。そこで、ここからはその必要なITツールたちを厳選して皆さんにご紹介していきたいと思います。リモートワークをすでに取り入れている方もまだの方も参考にしてみてくださいね。
■リモートアクセスツール
リモートアクセスツールとは、社外でもオフィス環境と同じように作業ができるよう、社内ファイルサーバーや業務アプリケーションに遠隔から接続するためのITツールです。このツールには4つのシステム方式が存在するので、ご紹介していきますね。
1.リモートデスクトップ方式
オフィスで使用している自分用PCの画面を遠隔で閲覧、操作できる方式です。ファイルやデータはオフィスにある端末に保存されていくので、情報漏れを防ぐことができてセキュリティが高く、導入コストも抑えられるのがメリットです。ただし通信環境によっては重く感じてしまうことも。
2.仮想デスクトップ方式
オフィスに設置されているサーバーから提供される仮想デスクトップに、手元にある端末からアクセスをして遠隔操作ができる方式です。リモートデスクトップ方式と同様、データはオフィス端末に保存されていきます。ただしオフィス側に仮想デスクトップ管理サーバーを設置する必要があるためコストは4つの方法の中で一番高くなります。
3.クラウドアプリ方式
クラウドサーバー上に業務アプリケーションやデータを配置し、そこへアクセスして作業を行う方式です。どの端末からでも同じ環境で作業できるのが魅力です。また、アプリの利用料以外のコストはほとんどかかりません。ですがデータの保存先をクラウド上にも端末にも指定できるため、管理には注意が必要です。
4.VPN方式
インターネット上に仮想の専用線を設定し、オフィス内ネットワークに接続する方式です。手元端末に情報が残るために情報漏洩などのリスクが他の方法より高く、セキュリティソフトなどのコストがかかってしまいます。上記4つのシステムのなかで、自社のリモートワーク取り入れの際にはどれが最適かをしっかり比べて、快適な環境でリモートワークを開始したいですね。
次に、リモートワークをより円滑にしてくれるツールをご紹介していきます。
■コミュニケーションツール
業務において会社内のコミュニケーションはとても大切です。ですが、全員が離れた場所にいる環境ではコミュニケーションを取るのが難しいですよね。その解決策として、簡単に連絡を共有できるツールは必須です。
【チャットツール】
メールのように定型文に悩む必要なく、気軽に報告・連絡・相談が可能です。
文章以外にも写真やファイルなども共有できるので便利ですよね。
また、プライベートチャットとは違って高度なセキュリティによって情報漏洩を防ぐことができます。
おすすめアプリ
・slack
・Chatwork
・Talknote
【Web会議ツール】
チャットだけでは細かい部分や深堀したい部分までコミュニケーションを取るには限界を感じてしまいますよね。ですがWeb会議ツールを使えば、お互いの顔を見ながら会話ができ、資料も画面に共有できるので、より円滑なコミュニケーションが取れます。
おすすめアプリ
・zoom
・V-CUBE
・Google meet
■タスク管理ツール
仕事をするうえで、社内でいま誰がどんな業務を進行しているのかを把握できないと、業務の入れ違い、抜けや漏れ、納期に間に合わないなどのミスが起きてしまう恐れがあります。それを防ぐために社員同士が仕事の進捗状況を共有し、確認しあえるタスク管理ツールは重要になります。
おすすめアプリ
・Backlog
・Asana
・Taskworld
■勤怠管理ツール
社員それぞれに目が行き届かないリモートワーク環境でも、労働基準法内での勤務時間、また仕事開始時間と終了時間を正確に管理するために必要なツールです
おすすめアプリ
・Jinjer
・ジョブカン勤怠管理
・KING OF TIME
リモートワーク導入におけるITツール導入補助金に関して
働き方改革に伴うリモートワーク・テレワーク導入にはご紹介してきましたITツールが必要不可欠となりますが、導入にはどうしても費用の発生が付き物となります。その際にぜひとも補助金・助成金を活用して少しでも負担を減らして頂けたらと思います。
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まとめ
以上、リモートワークとテレワークの違いから、ITツールについてまでを掘り下げてお伝えしてまいりました。ここまで記事を読んでくださってありがとうございます。皆様に、少しでも分かりやすくお伝えすることができたでしょうか?少しでも多くの知識を吸収して頂き、リモートワーク・テレワークの導入、導入後の業務遂行までがスムーズに行えるように役立てていただけたら幸いです。
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